桑の実

皆様
家の近くのヤマグワの実が色づき始めました(写真1)。
よく見ると、赤や黒に熟したものに混じって白くなった実があります。
これは桑の実菌核病といって、きのこによって引き起こされる病害で、実の中は菌糸が充満しています(写真2-3)。
この菌糸の正体はキツネノワンCiboria shiraiana (Henn.) Whetzelというきのこで、桑の実を菌核化して翌年の4月頃、ちょうど桑の花が咲く時期に合わせてきのこ(子実体)を発生させます。
そのきのこが飛ばした胞子が桑の花に感染して、ということを繰り返しているのです。
同じ生態を持ったきのこにキツネノヤリScleromitrula shiraiana (Henn.) S. Imaiがあります。
キツネノワンによる病害は「桑の実肥大菌核病」、キツネノヤリは「桑の実縮小菌核病」と呼ばれ、感染して白化した実が肥大するか縮小するかで、どちらが感染したか判るようです。
2種のきのこは発生ピークに若干(1週間位?)のズレがあり、その年の桑の開花とのタイミングしだいで翌年の発生に偏りが起きるようです。
今さがしてもきのこは見つかりませんが、白い実のついたクワの木を今見つけておくと、来年の春その木の下にはキツネノワンやキツネノヤリタケが見つかるかもしれませんよ。
写真-4のきのこは数年前の4月下旬に撮影したものです。(T.I)